質屋の隠語「七つ屋」とは?名古屋の質店主が徹底解説!

目次

知られざる質屋の隠語とは?

質屋 | 質店 | 隠語 | 名古屋 | 金蔵(キンゾー) | 質入れ | 質預かり

質屋という業界には、独自の隠語や専門用語が数多く存在します。これらの言葉は、日常のやりとりの中で特定の意味を持ち、利用者や従業員同士、所属組合や質屋連合会の中などで使われることが一般的です。今回のブログ記事では質屋の隠語に焦点を当てて、名古屋の質屋 金蔵(キンゾー)のプロの査定士目線で、私たちが日常的に使用する専門用語から、過去の歴史の中で使われてきた言葉、また「質屋」そのものを指す特殊な言葉まで詳しくブログ内でご案内していきます。このページを読むと以下のことがわかるようになります。

  • 質屋の歴史がわかるようになる
  • 質屋の取引きで使用される特殊な呼び方がわかるようになる
  • 質屋の預かり証に記載されている内容がわかるようになる
  • 質屋の違う呼び方がわかるようになる

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仕組みを質屋の隠語で説明

以下の文章は、昔の人が質屋の仕組みについて話していることを想定した文章です。

「一六銀行では、質草を預けて現金を借りられる。質札を受け取り、流質期限までに元金と質料を返せば、質草を取り戻せる。無理なら質流れだが、利上げも可能なので相談するとよい。」

このような説明では、質屋の専門用語に慣れていない人には理解が難しいかもしれません。これらの言葉は、質屋業界や利用者の間で長い歴史を持つ言葉であり、特定の集団でのみ通用する「隠語」として使われています。隠語には「外部に秘密が漏れないようにする」という意味もあり、質屋の利用者が知られたくない理由があった可能性もあります。

次にこれらの専門用語の意味を解説し、質屋が発展してきた背景と歴史に触れながら、なぜ「質屋」という言葉が伏せられたのかを考察していきます。

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独特の質屋専門用語

質屋業界の独特の専門用語は、一般的に取引や業務を円滑に進めるために使われます。以下に代表的な質屋の専門用語を挙げ、その意味を解説します。

質入れ しちいれ

質屋の基本的な機能で、ブランド物や時計、金やプラチナなどの貴金属といった高価な商品を担保に一時的な融資を受けること。

質屋 | 質店 | 質入れ | 質預かり | 金蔵(キンゾー)

質流れ しちながれ 

質屋に質入れした品物の返済期限が過ぎ、返済が行われなかったために品物が質屋の所有となること。


元金 がんきん / もときん

質入れの際に質屋から借りた金額そのもの。


質料 しちりょう

質入れの際に質屋から借りた金額に対して発生する月単位での金利。


流質期限 りゅうしちきげん

質入れした品物を質屋から取り戻せる期限で、通常借入日から3ヶ月後の日付を指す。ただし、月の数え方は各質屋によって異なる。また、この期限の連絡は電話(tel)やメールなどで通知が来ないため自身で把握しておく必要がある。


質札 しちふだ

質屋に品物を預けた際に受け取る証書。預かり証のような機能を持つ。質札には、質屋に預け入れた品物の名前、預け入れた品物の品数、借入金額、月単位の利息、預かり期限(流質期限)などの情報が記載されている 。


質草 しちぐさ

質屋に担保として入れるものを指し、質物(しちもの)とも呼ばれる。質屋の店舗や運営する会社によっても取り扱っている品物の種類は異なるので事前に確認が必要。

質屋 | 質店 | 金 | ゴールド | gold | 金蔵(キンゾー) | 質入れ | 質預かり
質屋 | 質店 | 白金 | プラチナ | platinum | 金蔵(キンゾー) | 質入れ | 質預かり
質屋 | 質店 | 時計 | 腕時計 | Watch | 金蔵(キンゾー) | 質入れ | 質預かり
質屋 | 質店 | 電動工具 | 工具 | tool | 金蔵(キンゾー) | 質入れ | 質預かり
質屋 | 質店 | 電化製品 | 家電 | electric-appliances | 金蔵(キンゾー) | 質入れ | 質預かり
質屋 | 質店 | ブランド品 | brand | 金蔵(キンゾー) | 質入れ | 質預かり

利上げ りあげ

質入れの期限を延長するために、質料のみを期限までに支払うこと。


質流れ品

質流れなどによって所有権が質屋に移った品物を指す。一部の質屋ではブランド物の質流れ品の格安販売セールなどが行われる。


質蔵 しちぐら

質屋営業法によって定められている質屋が必ず設置しなければいけない、担保品の保管庫。


満月計算 まんげつけいさん

月々の質料が発生する期間の計算方法で、融資日から翌月の同日までを1ヶ月と数える。


暦月計算 れきづきけいさん

月々の質料が発生する期間の計算方法で、融資日にかかわらずその月の月末までを1ヶ月と数える。

このように質屋業界には様々な専門用語があります。今でも一部の言葉は質入れや融資に関わる取引を円滑に進めるために質屋業界で慣習的に使用されています。以上をもとに、以前の章でご紹介した質屋における取引に関する説明を”翻訳”すると以下のようになります。

「一六銀行に行くと、担保品を質屋に預けることで現金の融資を受けることができます。取引が成立すると、現金を受け取ると同時に、担保品の預かり証を受け取り、指定された返済期限までに借りた金額と金利を支払うことで、預けた品物を取り戻すことができます。万一その期限までに元金も利息も支払いが出来ない場合は預けた品物の所有権が質屋に移ります。しかし、その期限まで全額返済が無理であったとしても、利息分のみ支払えば1ヶ月単位で期日を伸ばすこともできるため、その旨相談した方が良いでしょう」

いかがでしょうか。各言葉の意味がわかることで、質屋の取引に関するシステムが容易にお分かりいただけたと思います。しかしまだ1箇所聞き慣れない言葉がありますね。そう、上記文章の冒頭にある「一六銀行」という言葉です。この言葉は質屋を指す隠語なのですが、なぜ利用者は「質屋」とは呼ばずにこのような特殊な言葉を使ったのでしょうか。その理由は、過去の歴史を振り返ることで理解できるようになります。

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過去の質屋の歴史

質屋は実は人類最古の金融機関でありその起源は3,000年前の古代中国における農民への短期融資が発祥と言われています。古代ローマでも盛んで、人々は様々な品物を預けてお金を借りていました。当時の労働階級の主な質草(担保品)は衣服です。英語で質屋はpawnshopと表しますが、このpawnとはラテン語のparinumから来ており、このparinumは 実は「衣服」を表す言葉なのです。つまり、衣服など誰でも持っているものを担保にして、気軽にお金を借りる事が出来る金融機関として機能していた事がわかります。中世15世紀に入るとスペインのイザベル女王は新大陸を発見したコロンブスの探検航海資金を援助するために王冠の宝石を質入れしたということは有名な話です。このように、質入れという業態は王侯貴族でさえも利用していました。

我が国日本では12世紀末の鎌倉時代以前から質屋という事業形態が存在していることが確認されています。当時の主要な担保品は古代ローマ同様に衣服などが中心で、顧客層も同じく労働者や零細商工者など、いわゆる一般庶民でした。江戸時代に入ると「しちや」の「しち」が「なな」とも呼べることから「七つ屋」や、一と六を足して七になる金融機関ということで「一六銀行」、または「五二屋」などという隠語で呼ばれるようになります。このような隠語が使用されるようになったのは、「質屋への出入りをあまり他の人に知られたくない」「資金繰りが苦しいことを人に知られたくない」という世間体を気にしてのことだったようです。つまり、隠語が生まれた背景にあるのは、当時の人々の根底にあった借金をする事への恥ずかしさであることがわかります。

大正から昭和にかけて農林業に従事する人口が減少し、非農林業従事者の数が増加するとともに、質屋の貸付基盤は農村から都市部へと移っていきます。時代を経るにつれてこの呼び方も質(しち)という呼び名を英語にして「セブン屋」や「セブン銀行」などとも呼ばれるようになりました。今でも屋号に「セブン」という名前が付いている質屋が全国に多く存在するのも、これらの名残です。

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隠語が使われる場面

「質屋の隠語」とは先述した「七つ屋」や「一六銀行」、「セブン屋」などの質屋の呼び名を指しますが、これらの隠語で私たちが呼ばれることは、今はほぼありません。

質屋という業態が減少していきていることも影響している可能性もあります。リサイクルショップや買取店、消費者金融やカードローンなどの台頭により、日本全国の質屋の件数は1958年の2万1,539件をピークに減少傾向にあり、2015年には3,034件にまで減少しています。そのため、質屋に対して「古い」というイメージを持っている人も少なくはなく、最近の若年層ではその存在すら知らないという人も多いはずです。 

さらに、近年、スマホ一つでお金を借りることができるサービスなども多く、人々の「お金を借りる」という行為そのものへの羞恥心や罪悪感なども希薄になってきています。しかし、消費者金融やカードローンなどの審査も無く、ロレックス、金、ジュエリーやブランド物などの品物を「売らずに」お金を借りることができるのは質屋だけです。そのため、若い方でも、形見としてもらった古いモデルの高級時計を持っている方や、金製品などを持っている方は気軽にお金を借りることができます。預けられる品物は高価な物だけでなく、iPhoneなどのスマホやカメラ、電動工具などでもお金を借りることができるため、いざという時の資金調達先として近所の質屋が役に立つ、ということは覚えておいて損はありません。

ちなみに、「質入れ」や「流質期限」、「質流れ」などの独特の専門用語は今でも毎日のように質屋では使用されます。質札という預かり証にも「質料」という月利の割合や「流質期限」という担保品の所有権が質屋に移る期限も記載されていますので、初めて利用する方はこの記事を読むことで、質屋からの預かり証に書かれている内容なども理解することができるでしょう。

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人々が隠語で質屋を呼んだ理由

昔は銀行が今ほど庶民にとって身近ではありませんでした。そのため、気軽にお金を借りることができる質屋を人々が「七つ屋」や「一六銀行」などと呼んでいたのは、ユーモアを込めていた、つまり、人々に愛されていたという側面もあります。

こうして過去の歴史を振り返ることで、質屋という存在がどれだけ人々の間で気軽に利用されてきていたかがおわかりいただけたと思います。「古い」「敷居が高い」というイメージを持たれているかもしれませんが、2024年の現在でも、本質は変わらず、本当に気軽にご利用いただけて、急場の資金に対応できる街の金融機関なのです。

私たち名古屋の質屋 金蔵(キンゾー)当店では、これまで質屋を利用したことが無いという方のために、初回質料無料のキャンペーンを行っていますのでいざという時の資金調達に困った時は是非ご相談ください。お客様の「いざという時」に常にご対応できるよう年中無休で営業しております。

また、このような質屋や質入れに関連する情報もスタッフブログの中に多く投稿し、情報を更新していますので、何かわからないことがありましたら投稿記事も覗いてみてください。

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